
2018年発表の5代目レクサスLS(LS500h)。旗艦セダンに相応しい存在感と先進技術を備え、ガソリンモデルとハイブリッドモデルが設定されている。写真はLS500hの展示車。
LSシリーズのフラッグシップと比較のポイント
レクサスの最上級セダン「LS」シリーズは、その豪華さと先進技術で知られています。現行モデルではガソリンエンジン搭載のLS500とハイブリッドシステム搭載のLS500hがラインナップされており、それぞれに後輪駆動(2WD)と全輪駆動(AWD)が設定されています。本記事ではAWDモデルのLS500とLS500hに焦点を当て、燃費性能の比較から年間燃料費の試算、そして車両価格差の回収可能性(ブレイクイーブン分析)まで、現実的かつ堅実な視点で徹底検証します。
燃費はカタログ上のWLTCモード燃費と、ユーザーの声や第三者データによる実燃費の両面から比較。また、年間1万km走行・ガソリン170円/Lという前提で年間燃料費をシミュレーションし、ハイブリッドモデルの燃費向上でガソリンモデルとの価格差を埋められるかを計算します。さらに燃費以外にも静粛性や税制優遇、リセールバリュー、長期維持費などを総合的に考慮し、ハイブリッド車(LS500h)の価値を評価してみます。高級車選びに悩む方にとって、経済面と快適性の両面から役立つ情報を提供します。それでは、まずは基本スペックと燃費性能の比較から見ていきましょう。
LS500とLS500h主要スペック比較(AWDモデル)
まずはLS500(AWD)とLS500h(AWD)の基本的なスペックの違いを押さえておきましょう。両車ともレクサスLSらしく豪華装備を備えボディサイズも同等ですが、パワートレイン構成に大きな違いがあります。
- エンジンと出力: LS500はV型6気筒3.5Lツインターボエンジン(ハイオク仕様)を搭載し、最高出力422PS前後を発揮する高性能ガソリンモデルです。一方、LS500hはV型6気筒3.5Lエンジンに電気モーターを組み合わせたマルチステージハイブリッドシステムを搭載し、エンジン単体の出力は299PSですがモーターの力を合わせてシステム合計354PS相当のパワーを生み出します。ガソリンモデルの方がカタログ上の馬力は高いものの、ハイブリッドも充分な動力性能を持ちます。
- トランスミッション: LS500は10速AT(トルクコンバーター式)を採用し、ダイレクトかつ多段な変速でパワフルな走りを実現します。LS500hは電子式無段変速機に4速ATを組み合わせた独自のマルチステージHVトランスミッションを採用し、無段階変速の滑らかさと多段制御を両立しています。
- 車両重量: 装備や駆動方式によって差はありますが、ハイブリッドシステムを搭載するLS500hの方が概ね車重が+50~100kg程度重くなります。例えばLS500 “Executive” AWDが約2,370kgに対し、LS500h “Executive” AWDは約2,400kg前後です。重量増はありますが、大きな差ではありません。
- 燃費性能: 燃費に関しては後述するように、ハイブリッドのLS500hが公称値・実燃費ともに有利です。公式カタログ値ではLS500 AWDはWLTCモード9.5km/L、LS500h AWDは12.5~12.6km/L程度となっています。この差は後ほど詳しく解説します。
- 車両価格: 後述の価格差分析でも触れますが、一般にハイブリッドのLS500hの方がガソリンのLS500より新車価格が高めに設定されています。同じAWD同士で比較すると約150万円前後の差があります(例:LS500h “Iパッケージ” AWD:約1,260万円、LS500 “Iパッケージ” AWD:約1,114万円)。この初期価格差を燃費の差で回収できるかがポイントになります。
それでは次に、燃費性能についてカタログ値と実際の走行時の数値を比較してみましょう。
カタログ燃費(WLTCモード)の比較
メーカー公表のカタログ燃費(WLTCモード)は、公平な試験条件で測定された燃料消費率です。まず、このWLTCモード燃費でLS500(AWD)とLS500h(AWD)を比較します。
- LS500 (AWD) のWLTCモード燃費: 9.5 km/L(市街地モード6.3 km/L、郊外モード9.6 km/L、高速モード12.1 km/L)。LS500は排気量3.5Lのツインターボエンジン車としては健闘していますが、大排気量ゆえに一桁台の数値です。
- LS500h (AWD) のWLTCモード燃費: 12.5~12.6 km/L(市街地モード約9.8~9.9 km/L、郊外モード12.5~13.0 km/L、高速モード13.9~14.2 km/L)。ハイブリッド化により2桁台の燃費をマークし、ガソリン車より約3 km/L向上しています。
上記のように、カタログ値ではLS500h(AWD)の方が燃費が約30~35%良いことが分かります。なお、FR(後輪駆動)モデル同士で比較すると差はさらに開き、LS500h 2WDはWLTC13.6 km/L、LS500 2WDは10.1 km/L程度となっています。今回はAWDモデル同士の比較ですが、いずれにせよカタログ上はハイブリッドの優位性がはっきりしています。
実燃費(ユーザー報告値・第三者データ)の比較

カタログ燃費は試験室での測定値であり、実際の道路環境とは異なります。そこで、実燃費(オーナーの口コミや第三者のテスト結果)では両車にどの程度差が出ているのかを見てみましょう。
一般に、大排気量車の場合走行状況や運転スタイルによる燃費変動が大きく、LS500/LS500hも例外ではありません。以下は第三者のまとめた実燃費データの傾向です。
- LS500 (AWD) の実燃費:
- 市街地走行:約6~8 km/L前後高速道路走行:約10~12 km/L前後平均的な使用条件(市街地+高速含む):約8~10 km/L前後
- LS500h (AWD) の実燃費:
- 市街地走行:約10~12 km/L前後高速道路走行:約15~18 km/L前後平均的な使用条件(市街地+高速含む):約12~14 km/L前後
以上より、実燃費においてもLS500hはLS500に比べて3~4 km/L程度優れていることがわかります。特に渋滞や低速走行が多い街中ではエンジンを止めて電気走行できるハイブリッドの恩恵が大きく、燃費向上が顕著です。一方、高速巡航時もハイブリッドのLS500hはエンジン効率の高い領域を保ちやすく、ガソリン車との差が維持されます。LS500も高速走行では燃費が伸びますが、それでも常用域でLS500hの方が1.5倍程度走れるイメージです。
なお、あくまで平均値の比較であり、実際には季節や交通状況、アクセルの踏み方で燃費は大きく変動します。たとえば冬季の暖機運転や夏場のエアコン使用で両車とも燃費は悪化しますが、アイドリング停止時間の長いハイブリッドはそうした条件でも有利です。また、パワフルなエンジンを積むLS500ではスポーツ走行をすれば一気に燃費が悪化し得るのに対し、LS500hは穏やかなドライビングを心掛ければより高い燃費を引き出しやすい傾向があります。
年間燃料費のシミュレーション(1万km走行想定)

それでは、上記の燃費を前提に年間の燃料費を試算してみましょう。条件は問題文の指示に合わせ、年間走行距離1万km、燃料は両車ともハイオクガソリン(170円/Lと仮定)です。LS500とLS500hそれぞれについて年間のガソリン消費量・費用を計算します。
- LS500 (AWD) の場合: 実燃費を平均9 km/L程度と仮定すると、1万km走行で必要な燃料は約1,111Lとなります(10000 ÷ 9)。ガソリン単価170円で計算すると、年間燃料費は約18万9千円(1,111L × ¥170 ≈ ¥188,870)ほどになります。仮に高速中心でもう少し良い10 km/Lまで伸びれば年間17万円程度、逆に街乗りメインで8 km/L程度だと年間21万円超となります。
- LS500h (AWD) の場合: 実燃費を平均13 km/L程度と仮定すると、1万km走行で必要な燃料は約769Lです(10000 ÷ 13)。ガソリン単価170円で計算すると、年間燃料費は約13万1千円(769L × ¥170 ≈ ¥130,730)ほどに抑えられます。高速が多く15 km/Lまで伸びれば年間約11万3千円、街乗り多めで11 km/L程度でも年間約15万4千円と、ガソリン車より負担が軽くなります。
⇒ 年間あたりの燃料費差は約5~6万円(LS500hの方が安い)と見込まれます。公式カタログ値ベースで計算すると差はもう少し小さく約4.3万円ですが、ユーザーの実使用ではハイブリッドの方がカタログ値達成率が高めな傾向もあり、実質的な差額は年間5万円以上になるケースも多いでしょう。
例えば、あるデータでは1000kmあたりの燃料代がLS500(AWD)で約20,211円、LS500h(AWD)で約14,265円との試算があり、その差額は約5,946円/1000kmでした。この条件(ハイオク単価約196円想定)では1万kmで約5万9千円の差となっています。単価170円では差もやや縮小しますが、それでもハイブリッドは年間5万円前後のガソリン代節約効果が期待できる計算です。
もちろん、この差額は走行距離に比例します。走行距離が多い方ほど燃料費差による恩恵は大きくなります。逆に年間5,000km程度しか乗らない場合、差額は年2~3万円程度にとどまります。では、この燃料費の節約効果で冒頭触れた車両価格差を回収できるのか、次のセクションで検討してみましょう。
ハイブリッドの燃費メリットで価格差は埋まる?ブレイクイーブン分析

LS500hを選ぶ際に気になるのが、ガソリン車より割高な車両本体価格です。同じグレード・駆動方式で比較するとLS500hの方が新車価格で約140~150万円ほど高い設定になっています。例えば、先述した「Iパッケージ」AWD同士では約146万円の差額でした。高価な買い物だけに、「燃費が良いとはいえ、そのハイブリッド車の価格差をガソリン代節約で回収できるのか?」は多くの方が考えるポイントでしょう。
結論から言えば、年間1万km程度の走行では燃費差だけで価格差を回収するのは難しく、相当に長い年月が必要です。試算してみます。
- 価格差:約150万円(仮定)
- 年間燃料費差:約5万円(上述のシミュレーションより)
この場合、単純計算で150万円 ÷ 5万円 = 30年となり、30年分の燃料代節約でようやく差額を埋めるイメージになります。現実的には乗用車を30年も乗り続けるケースは極めて稀でしょう。仮に燃料単価が上昇したり、年間走行距離がもっと多ければ回収期間は短縮されますが、それでも10万km以上(数十年)のスパンが必要になるのは間違いありません。
例えば、年間2万km走るヘビーユーザーなら年間燃料費差は10万円ほどになります。それでも15年で約150万円です。ガソリン価格が将来大幅上昇してハイブリッド優位が増しても、やはり車両価格差を燃費だけで埋めるのは容易ではないことがお分かりいただけるでしょう。
以上から、燃料代の節約“だけ”を目的にLS500hを選ぶと経済的メリットの実現は相当先になってしまうというのが正直なところです。しかし、ハイブリッドモデルの価値は燃費だけではありません。この後、燃費以外の要素も含めた総合的な価値を考察します。
※補足: レクサスLSクラスの高級車になると、そもそもの維持費に占める燃料代の割合はそれほど高くありません。年間数万円の差は無視できないものの、自動車保険料や税金、車検整備代、そして何より新車価格からの減価償却(下取り値引き)といったコストの方が大きくなりがちです。そのため、燃費によるコスト差だけで元を取ろうと考えるのは現実的ではなく、むしろ次に述べるような燃費以外の付加価値に注目してハイブリッド車の是非を判断するのが賢明です。
燃費以外で評価すべきポイント(静粛性・税制優遇・リセール等)

ハイブリッドモデル(LS500h)には、燃費向上以外にもガソリンモデル(LS500)にはないメリットや特徴があります。ここでは静粛性、税金面の優遇、リセールバリュー(中古価値)、長期維持費の観点から、LS500hの価値を現実的に評価します。
- 静粛性と走行フィール: LS500h最大の魅力の一つが、その圧倒的な静粛性です。エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドシステムでは、低速域や停車時にエンジンを停止し電気モーターだけで走行できるため、街中の走行ではほとんどエンジン音が聞こえません。もともとLS500も遮音性が高く静かな車ですが、LS500hはさらにアイドリングストップやEV走行で静粛性が極めて高いです。渋滞中や信号待ちでもエンジン音や振動がなく、後席に乗るVIPや同乗者にとっても快適でしょう。またモーターの力で発進するため出足がスムーズで、加速時のエンジン回転上昇も抑えられる傾向にあります。「静かさ」「滑らかさ」というラグジュアリーカーの本質的な価値において、LS500hは一歩リードしていると言えます。
- 税制面のメリット: 日本では環境性能に応じて自動車税や重量税の優遇措置が設けられています。レクサスLS500hはハイブリッド車ということで燃費基準達成度が高く、エコカー減税やグリーン化特例の優遇を受けられます。例えば新車購入時の自動車重量税は、LS500hの場合減税措置により**約18,800円の軽減(75~100%減税)**が受けられるケースがあります。自動車税(毎年の税金)についても初年度は50~75%の減税となることがあり、排気量3.5L級では本来5.7万円程度の年税額が初年度は大幅減税されます。一方、ガソリンモデルのLS500も近年の燃費向上で一部エコカー減税の対象となっていますが、その達成度はハイブリッドほど高くなく、減税幅も小さい傾向です。つまり税金面ではLS500hの方が若干有利と言えます。ただし、その優遇額は車両価格全体から見ると数万円程度と限定的です。高額なLSでは「焼け石に水」に感じるかもしれませんが、購入時や初回車検時にいくらかでも費用が抑えられるのは嬉しいポイントでしょう。
- リセールバリュー(中古価値): ハイブリッド車は中古市場でも燃費の良さや環境イメージから人気が高い傾向があります。LSの場合も、従来型(LS460とLS600h)ではハイブリッドのLS600hの方が中古人気が高かった経緯があります。しかし現行のLS500/LS500hについて言えば、リセールバリュー(残価率)は両者で大きな差はないようです。ある調査では新車価格に対する4年後の残価率が、LS500で約49%、LS500hで約45%というデータがありました。ハイブリッドの方が車両価格が高いため下取り額自体は高めになりますが、率で見ると若干劣る場合もあります。つまり新車時の価格差ほどには中古車価格の差が維持されない可能性が高いのです。この点、ハイブリッド車はバッテリー劣化の不安もあり、中古買い取り業者が慎重になる面もあるのでしょう。一方で、レクサスはハイブリッド技術の信頼性が高く、10年15万km程度であれば大きなトラブルは少ないとも言われます。そのため今後の市場動向によっては、依然ハイブリッドモデルが好まれる可能性もあります。総合的には「リセールに大差なし。ただハイブリッドの価格上乗せ分は中古では回収しにくい」と考えておくのが無難です。
- 長期維持費・メンテナンス: ハイブリッド車は構造が複雑なぶん、長期的なメンテナンスコストを気にする方もいるでしょう。確かに、LS500hにはエンジンに加えてモーターやインバーター、大容量バッテリー等が搭載されており、理論上は故障箇所が増えます。ただしレクサス(トヨタ)のハイブリッドシステムは耐久性に定評があり、定期メンテナンスを怠らなければ10年程度で大きなトラブルが起きるケースは稀です。懸念点として挙げられるハイブリッドバッテリーの交換も、メーカー保証が初期で8年/16万km程度用意されていますし、仮に交換する場合でも費用は30~40万円台と以前よりかなり抑えられてきています。実際、整備工場の事例でもLSの駆動用バッテリー交換費用は税込み30万円台後半(リビルト品利用)という報告がありました。一方、ガソリンターボのLS500も長期的にはターボチャージャーの劣化や燃料ポンプ、補機類の交換などそれなりのコストが発生します。エンジンオイルやスパークプラグ、ブレーキパッドの消耗に関しては、エンジン負荷や回生ブレーキのあるLS500hの方が有利な面もあります(ハイブリッドは減速時に回生ブレーキを使うためブレーキパッドが減りにくい傾向があります)。総じて、大きな故障がなければ両者の維持費に極端な差は出にくいでしょう。ただし耐用年数を超えるような長期(10年以上・走行10万km超え)では、ハイブリッドシステム関連の修理リスクが僅かに高まる点は意識しておく必要があります。
以上のように、ハイブリッドモデルのLS500hには燃費以外にも様々なメリット・デメリットがあります。静粛性や上質な走り、環境性能による優遇といったプラス要素は、ラグジュアリーセダンとしての価値を高めてくれるでしょう。一方で初期価格の高さや機構の複雑さによるコスト面のハンデもゼロではありません。最後に、それらを踏まえてどちらを選ぶべきかまとめます。
総合評価:ハイブリッドの価値と選択のポイントまとめ

燃費比較と経済性のシミュレーション、さらに静粛性や税制面など多角的にLS500(AWD)とLS500h(AWD)を比較してきました。それらを踏まえた総合的な評価として、以下にポイントをまとめます。
- 燃費・経済性: (燃料代重視なら毎年確実に差は出るが“大幅な元取り”には長期間が必要) – LS500hはLS500より約3~4 km/L燃費が良く、年1万kmあたり約5万円のガソリン代節約になります。しかし車両本体の価格差約150万円を埋めるには数十年規模の走行が必要で、純粋な燃費節約だけで元を取るのは非現実的です。したがって「燃費が良いからお得」という観点だけでハイブリッドを選ぶメリットは限定的と言えます。
- 走行性能・快適性: (静粛で滑らかなハイブリッド、パワフルでダイレクトなガソリン) – 静粛性やスムーズさではLS500hが秀でています。特に市街地走行での静けさは高級車として大きな魅力です。一方、LS500も決してうるさい車ではなく、高速巡航の静かさは一級です。またアクセルレスポンスやエンジンサウンドを楽しみたい方、スポーティなフィーリングを重視する場合は、ツインターボエンジンの力強さが感じられるLS500に惹かれるかもしれません。実用加速では両者とも遜色ありませんが、フィーリングの好みで選ぶのもアリでしょう。
- 環境性能・社会的イメージ: (ハイブリッドの先進イメージとエコ性能) – LS500hはレクサスの環境技術の粋を集めたモデルであり、CO2排出量や燃費の面で優れています。「ハイブリッドである」というだけで企業の役員車などに採用しやすいケースもあるでしょう。環境意識が高まる昨今、ハイブリッドモデルを選ぶこと自体がオーナーの環境配慮の姿勢を示す一面もあります。ただし、運輸部門での電動化が進む中で「フルハイブリッド止まり」のLS500hは、プラグインハイブリッドやEVには及ばないとの指摘もあります。それでも同クラスのガソリン車に比べれば格段にエコであるのは確かです。
- 維持費・将来的なリスク: (ハイブリッド特有のコストはあるが信頼性は高い) – 上述のとおり、ハイブリッドシステムの信頼性は高く故障は少ない傾向です。定期点検やメーカー保証の延長プログラムなどを活用すれば、長期間安心して乗れるでしょう。仮にバッテリー交換などが発生しても費用は数十万円規模で済み、レクサスオーナーにとって致命的な負担にはなりにくいです。一方、LS500もターボ車ゆえに経年劣化部品がありますが、こちらもトヨタの耐久テストに裏打ちされたエンジンであり大きな不安要素はありません。どちらのモデルでも、長く乗るなら正規ディーラーでのメンテナンスを欠かさず受けることが肝要です。
まとめると、「燃費で元を取る」という観点ではLS500hは必ずしも経済的選択とは言えません。しかし、静粛性や上質な乗り心地、環境性能で得られる付加価値に150万円の差額を支払う価値があるかを考えると、これはオーナーの重視ポイント次第でしょう。レクサスLSという車は本来、燃費云々よりも「最高の移動体験」を提供することに価値があります。その意味で、より静かで滑らかなドライブを提供してくれるLS500hは、経済性以上の満足感をもたらしてくれる選択です。
もちろん、「それでもコストパフォーマンス重視で十分な性能が欲しい」という方にはLS500も魅力的です。車両価格が安いぶん装備オプションに回せる予算も増えますし、ガソリンモデルならではのダイレクトな動力フィールを好む向きもあるでしょう。実際、中古市場ではハイブリッド人気に陰りが見えるとの指摘もあり、敢えてシンプルなガソリンモデルを選ぶのも一つの通好みな判断と言えます。
最後にもう一度要点を整理すると:
- 燃費: LS500hが常に優位だが、金銭メリットは累積しにくい。
- 価格: LS500hは約150万円高価。燃費差での元取りは困難。
- 快適性: LS500hは極めて静かで滑らか。LS500も十分静かだがエンジン音の存在感はある。
- 税金: LS500hはエコカー減税など優遇あり(数万円程度)。LS500も一部優遇あるが僅少。
- 中古価値: 両者大差なし。価格差分のリセール回収は難しい。
- 維持費: 大きな差なし。ハイブリッドの追加整備リスクは低いがゼロではない。
以上を踏まえ、「静粛性・先進性を取り、長く大事に乗るつもり」であればLS500hが魅力的ですし、「購入コストを抑えつつ必要十分なラグジュアリーを享受したい」ならLS500も賢い選択です。どちらを選んでもレクサスのフラッグシップに相応しい素晴らしい体験が得られるでしょう。あとはオーナー自身が何に価値を置くかで、最適な一台を選んでみてください。
(*注記: 本記事の数値は2025年時点の参考値であり、実際の燃費・費用は使用環境等によって変動します。また、税制優遇の内容は年度によって変更される可能性があります。最新情報はメーカー公式情報や販売店にてご確認ください。)
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