
「最近、ガソリンスタンドに行くたびにため息が出る……」 「満タンにするのが怖い」
車好きなあなたなら、今のガソリン価格の高さにうんざりしているのではないでしょうか?ドライブは楽しいけれど、給油メーターを見るたびに現実突きつけられるあの感覚、本当に辛いですよね。
「一体いつになったら安くなるの?」 「これ以上上がることはあるの?」 「それとも、そろそろ下がるの?」
そんな疑問を抱えているあなたへ。今回は、なぜこれほどまでにガソリン価格が高騰しているのか、そして今後どうなっていくのかを、経済の難しい話は抜きにして、わかりやすく解説します。
特に、ニュースでよく聞く「暫定税率」や「トリガー条項」についても、「もしそれが発動したらどうなるの?」という視点で深掘りしました。
この記事を読めば、ガソリンスタンドの看板を見る目が変わり、今後のカーライフに備える賢い知識が身につくはずです。ぜひ最後までお付き合いください!
1. なぜ今、ガソリン価格はこれほど「上がる」のか?3つの犯人

まずは現状把握からいきましょう。「なんでこんなに高いの?」という問いに対する答えは、実は一つではありません。いくつかの要因が複雑に絡み合って、今の「高値安定」という状況を作り出しているんです。
主な「犯人」は以下の3人(3つの要素)です。
- 原油価格の高騰(世界のケンカと生産調整)
- 歴史的な円安(日本円のパワー不足)
- 政府補助金の縮小(お助けマンの退場)
それぞれ、サクッと解説しますね。
① 原油価格の高騰:世界情勢が不安定すぎる
ガソリンの原料である「原油」。この価格が上がれば、当然ガソリンも高くなります。 では、なぜ原油が高いのか?
大きな理由は「地政学リスク」です。中東情勢の緊迫化や、ロシア・ウクライナの問題など、産油国周辺でトラブルが起きると、「石油が届かなくなるかもしれない!」という不安から価格が跳ね上がります。
さらに、OPECプラス(石油輸出国機構とその他の産油国)が、「価格を下げたくないから、生産量を減らそう(減産)」という方針を取っていることも大きいです。供給を絞れば、価格は上がりますからね。
② 歴史的な円安:ダブルパンチの痛み
私たちにとって一番痛いのがこれです。 原油は海外からドルで買います。つまり、「円安=輸入コストが増える」ということ。
たとえ世界の原油価格が少し落ち着いても、日本円が弱ければ(円安なら)、日本に入ってくる時の値段は高いままです。今の日本は、海外の原油高と円安の「ダブルパンチ」を食らっている状態なんです。これが、過去のガソリン高騰時とは違う、厄介な点です。
③ 政府補助金の縮小:激変緩和措置の行方
これまで私たちがなんとか「170円台」で耐えられていたのは、実は政府が石油元売り会社にお金を配って、価格を無理やり抑えていたからです。これを「燃料油価格激変緩和措置」といいます。
しかし、この補助金はあくまで「緊急措置」。いつまでも続けるわけにはいきません。政府はこの補助金を段階的に減らしたり、終了したりする方向で調整しています。 「お助けマン(補助金)」がいなくなれば、本来の価格(もっと高い価格)がそのままダイレクトに私たちの家計を直撃することになります。
2. ガソリン価格は今後「上がる」か「下がる」か?ズバリ考察

さて、ここからが本題です。これらを踏まえて、今後のガソリン価格はどうなるのでしょうか?
結論から言うと、残念ながら「劇的に『下がる』可能性は低く、高止まりか、さらに『上がる』リスクの方が高い」と言わざるを得ません。
その理由を「上がる要因」と「下がる要因」に分けて整理してみましょう。
今後「上がる」と考えられる理由
- 補助金の終了・縮小: 先ほど触れた通り、政府の補助金がなくなれば、リッターあたり数円〜十数円単位で価格が跳ね上がる可能性があります。もし補助金がゼロになれば、今の実勢価格は軽く190円〜200円を超えている地域も多いはずです。
- 中東情勢の悪化: もし中東で大規模な紛争が起き、ホルムズ海峡(石油の通り道)が封鎖されるような事態になれば、「オイルショック」級の高騰が起きる可能性があります。この場合、200円どころの話ではなくなるかもしれません。
- 終わらない円安: 日米の金利差などが縮まらない限り、劇的な円高(円の復活)は見込めません。輸入コストが高い状態はしばらく続きそうです。
今後「下がる」と考えられる理由(希望的観測)
もちろん、下がるシナリオがないわけではありません。
- 世界的な景気後退(リセッション): アメリカや中国の景気が悪くなれば、石油を使う量が減ります。需要が減れば、原油価格は下がります。
- 政府の方針転換: 国民の生活があまりに苦しくなれば、政府が補助金を延長したり、後述する減税措置を行ったりする可能性があります。
結論:当面は「高値での我慢比べ」が続く
現状を見る限り、「来月には130円台に戻る!」なんていう夢のような話は期待できません。今の170円〜180円前後を行ったり来たりする「高値安定」が続くか、補助金の切れ目で「ドカンと上がる」かのどちらかだと覚悟しておいた方が良さそうです。
3. 「暫定税率」が撤廃されたらどうなる?トリガー条項発動の可能性
ガソリン価格の話になると、必ず出てくるのが「税金」の話。「日本のガソリンは税金の塊だ!」なんて聞いたことありませんか?
ここでは、車好きなら絶対に知っておきたい「ガソリン税の闇(?)」と、もしそれが変わったらどうなるかをシミュレーションしてみましょう。
ガソリン代の約4割は「税金」
レギュラーガソリンが1リットル175円だとします。その内訳を見て驚かないでくださいね。
- ガソリン本体価格: 約100円〜110円
- ガソリン税(本則税率): 28.7円
- ガソリン税(暫定税率): 25.1円
- 石油石炭税: 2.8円
- 消費税: 約16円
なんと、約60円〜70円が税金なんです! しかも、ここで一番の問題とされているのが「Tax on Tax(二重課税)」の問題です。ガソリン税や石油石炭税を含んだ価格に対して、さらに消費税(10%)がかかっているのです。「税金に税金をかけている」という、世界でも珍しい不思議な仕組みになっています。
「暫定税率」と「トリガー条項」ってなに?
ここで注目したいのが、「暫定税率(ざんていぜいりつ)」の25.1円です。 これは昔、「道路をたくさん作るためにお金が必要だから、一時的に上乗せさせてね」ということで始まったもの。でも、道路整備が一段落した今も、「当分の間税率(旧暫定税率)」という名前に変わって、しれっと徴収され続けています。
そして、ガソリン価格が高騰した時に、この上乗せ分(25.1円)を一時的に停止して安くしようというルールがあります。これが「トリガー条項」です。 「ガソリン価格が3ヶ月連続で160円を超えたら、暫定税率分をカットして安くするよ」という、ドライバーにとっては夢のようなスイッチです。
もしトリガー条項が発動(暫定税率が撤廃)されたら?
もし今、トリガー条項が発動されたらどうなるでしょうか?
- 価格の変化: 今の価格から「マイナス25.1円」、さらにその分の消費税も減るので、実質「約27円〜28円」ほど安くなります。 175円のお店なら、一気に140円台後半まで下がることになります!これはデカイですよね。満タン(50L)給油なら、1,400円近く浮く計算です。ランチ一回分以上の節約になります。
なぜ発動しないの?
「じゃあ早く発動してよ!」と思いますよね。でも、政府はこれをやりたがりません。 理由は大きく2つ。
- 国の収入が減るから: この税収は年間で数千億円〜1兆円規模になります。これを失うのは国として痛手です。
- 復興財源の問題: 東日本大震災の復興財源を確保するために、現在トリガー条項は法律で「凍結(使えない状態)」されています。これを発動するには法律を改正する必要があります。
- 現場の混乱: 「明日から25円安くなります!」となったら、その前日に給油する人はいなくなりますよね(買い控え)。逆に、安くなった瞬間にガソリンスタンドに大行列ができ、在庫が枯渇するパニックが予想されます。流通の現場が混乱するというのも、政府が二の足を踏む理由の一つです。
つまり、現状では「トリガー条項の発動(=大幅な値下げ)は、政治的にかなりハードルが高い」というのが現実です。
4. さらに高騰する可能性も!賢いドライバーの自己防衛策

ここまで読んで、「結局、下がる希望は薄いのか……」と落ち込んでしまったかもしれません。 しかし、嘆いていてもガソリン代は下がりません。さらに世界情勢が悪化すれば、リッター200円時代が到来する可能性だってゼロではないのです。
私たちドライバーにできるのは、環境が変わるのを待つことではなく、自衛すること。最後に、今日からできる「ガソリン高騰対策」をシェアします。
① アプリを駆使して「地域最安値」を狙い撃ち
もしまだ使っていないなら、ガソリン価格比較アプリ(例:gogo.gsなど)は必須です。 「たった数円の違いでしょ?」と侮るなかれ。家の近くのスタンドと、職場の近くのスタンドで、リッター10円違うことも珍しくありません。
- コツ: 行動範囲内の「最安値エリア」を把握しておくこと。わざわざ遠くに行くとその分のガソリンが無駄になりますが、「ついで給油」で安い場所を選ぶのが鉄則です。
② 「会員価格」と「クレカ割引」のフル活用
現金会員カードや、LINEクーポン、そして石油元売り系のクレジットカード。これらを組み合わせるだけで、表示価格から5円〜10円引きになることはよくあります。 「面倒くさい」と思わずに、一度財布の中のカードを見直してみてください。特定のスタンドで最強になるカードを1枚持っておくだけで、年間数千円〜1万円以上の差が出ます。
③ エコドライブは「ふんわりアクセル」だけじゃない
「急発進しない」は基本ですが、意外と見落としがちなのが**「タイヤの空気圧」**です。 空気圧が適正値より低いと、タイヤが潰れて転がり抵抗が増え、燃費がガタ落ちします。月に一度、スタンドで空気圧チェックをするだけで、燃費は数%改善します。これは無料でできる最強の節約術です。
また、車好きの方なら、不要な荷物(ゴルフバッグや洗車道具など)を積みっぱなしにしていませんか?「軽さは正義」。10kg荷物を下ろすだけで、燃費は確実に良くなります。
④ 究極の選択?車の乗り換え検討
もし今の愛車が燃費リッター5km〜8kmのスポーツカーや大型SUVで、ガソリン代が生活を圧迫しているなら……。 「楽しむための車」と割り切るか、普段使い用に燃費の良い軽自動車やハイブリッド車を持つ(あるいは乗り換える)のも、長い目で見れば大きな節約になります。中古車市場も変動していますから、今の車が高く売れるタイミングを見計らうのも一つの手です。
まとめ:情報は力なり。賢く立ち回ろう
今回の記事では、ガソリン価格が今後「上がる」のか「下がる」のか、そしてその背景にある複雑な事情について解説してきました。
ポイントをまとめます。
- 現状: 原油高・円安・補助金縮小のトリプルパンチで高騰中。
- 未来: 劇的に「下がる」要素は少なく、高値安定か、さらに「上がる」可能性が高い。
- 税金: 「トリガー条項」が発動されれば約25円下がるが、実現のハードルは高い。
- 対策: アプリ、割引、メンテを駆使して、1円でも安く、1kmでも長く走る工夫が必要。
「ガソリン価格」は、私たちがコントロールできない世界情勢や政治によって決まります。だからこそ、一喜一憂してストレスを溜めるのではなく、「今はこういう時期なんだ」と冷静に受け止め、自分ができる対策を淡々と行うことが、精神衛生上もカーライフを楽しむ上でも一番大切です。
この記事が、あなたのモヤモヤを少しでも晴らし、納得してハンドルを握る助けになれば嬉しいです。 ガソリンが高くても、やっぱり車は楽しい。賢く付き合って、素敵なカーライフを続けていきましょう!
【次にあなたができること】
まずは今すぐ、スマホに入っている「ガソリン価格比較アプリ」を開いて、自宅周辺と職場周辺の価格差をチェックしてみませんか?もしかすると、いつも入れているスタンドよりリッター5円以上安い穴場が見つかるかもしれませんよ!
※2025年11月6日追記 ガソリン税「暫定税率」の廃止と直近の対策
2025年11月6日 与野党6党の合意により、ガソリン価格の実質的な引き下げが決まりました。
- 【将来の決定】暫定税率の廃止 2025年12月31日をもって、ガソリン税の「暫定税率」が廃止されます。
- 【直近の対策】補助金による負担軽減 廃止までの間は補助金で対応し、12月11日からは暫定税率と同額の「1リットルあたり25.1円」の補助金が支給され、実質的な負担が軽減されます。
今後の価格見通しと他燃料への影響
1. ガソリン:価格は安く維持される(150円台〜の見込み)
- 2025年12月11日〜:補助金が25.1円に増額され、実質的な値下げとなります。
- 2026年1月1日〜:暫定税率(25.1円)が廃止されます。補助金がなくなっても税金自体が安くなるため、価格水準はそのまま維持される見通しです。
- ※消費税の計算元となる価格が下がるため、さらに数円安くなる「二重の値下げ」効果も期待されていますが、どこまで店頭価格に反映されるかは店舗判断や原油価格次第です。
2. 軽油(ディーゼル):来春まで補助金で対応
- 現状〜来春:軽油には「暫定税率(17.1円)」がかかっていますが、この廃止は2026年4月1日の予定です。
- 見通し:ガソリン税廃止(1月)から軽油税廃止(4月)までの「空白の3ヶ月」は、補助金(17.1円分)を継続することで、ガソリンと同様に価格が安く抑えられる方針です。
3. 灯油・重油:値上がりのリスクあり(要注意)
- 現状:現在、灯油や重油にも補助金(1リットルあたり約5円〜)が出ています。
- 見通し:今回の合意はあくまで「ガソリン・軽油の暫定税率廃止」がメインです。もし2025年末で一律に「補助金終了」となった場合、灯油には廃止すべき暫定税率がない(※)ため、補助金がなくなる分だけ価格が上がってしまう(リッター数円の値上がり)可能性があります。
- ※灯油には「石油石炭税」はありますが、ガソリンのような大きな暫定税率はありません。
- 冬場の暖房需要期に直撃するため、今後、灯油独自の支援策が別途検討されるかどうかが焦点となります。
燃料別の影響まとめ
| 燃料 | 12/11からの動き | 2026年1月以降の動き | 私たちへの影響 |
| ガソリン | 補助金で約25円安くなる | 暫定税率廃止に切り替え | 安い価格が維持される |
| 軽 油 | 補助金で約17円安くなる | 補助金継続 (4月に税廃止) | 安い価格が維持される |
| 灯 油 | 現行の補助金(約5円)維持 | 補助金終了の可能性 | 値上がりの恐れあり |
冬の時期、特に寒冷地では灯油代の行方が家計に大きく響きます。ガソリンが安くなる一方で、灯油の補助がどう扱われるか、今後のニュース(特に「灯油への激変緩和措置」など)に注目しておくと良いかもしれません。


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