トヨタの伝統あるクラウンといえばセダン型高級車の代名詞。しかし近年、「クラウンは古臭い」「セダンはダサい」といった声も一部で聞かれます。果たして現行(AZSH32)のクラウンセダンも本当に“ダサい”のでしょうか? 結論から言えば、今のクラウンセダンは決してダサくありません。むしろ革新的な技術と洗練されたデザインを備え、時代に即した進化を遂げています。本記事では過去のクラウンとの比較や輸入車との違い、オーナーの口コミなどを通じて、「今のクラウンセダンは違う」ことを現実的かつ堅実に、そしてカジュアルな文体でお伝えします。
過去のクラウンと現行モデルの比較:古臭い?それとも進化?
かつてのクラウンといえば、落ち着いた保守的なスタイルにFR(後輪駆動)レイアウト、静粛で安定感のある走りが持ち味でした。歴代モデルは6年ほどのサイクルでモデルチェンジを重ね、国内の役員車やタクシー、高齢層の愛車として親しまれてきました。しかし2018年登場の15代目(S220系)クラウンは、ユーザー層を50~60代から若い世代にも広げるべく「CROWN BEYOND」をキャッチフレーズに掲げ、ニュルブルクリンクで鍛えたシャシーを採用するなど走行性能を大幅向上させました。それでも販売は伸び悩み、わずか4年でモデル廃止となっています。これは「伝統ユーザーを切り捨てたのに新規も取り込めなかった」ためと辛口に分析する声もあります。つまり当時のクラウンは、保守と革新のバランスに悩み「古臭い」と「迷走」の狭間にあったと言えるでしょう。
現行クラウンセダンでは全長が5,030mm(先代比+120mm)、全幅1,890mm(+90mm)とボディサイズが大きく拡大し、堂々たる存在感を放っています。またクラウンシリーズ4モデルの中で唯一、伝統のFRレイアウトを採用し(他のクロスオーバー等はFFベース四駆)、ハイブリッド車と燃料電池車(FCEV)のみをラインナップするという大胆な変革を遂げました。開発コンセプトもゼロベースで見直され、「クラウンらしさとは何か」を徹底追求する中で生まれたのがこの新世代クラウンです。トヨタ自ら「正統派セダンを再定義する新スタイル」であり、「パーソナルにもビジネスにも応える『ニューフォーマル』という新たな価値観」に挑戦したと表現するように、現行クラウンセダンは伝統のフォーマットに最新の技術とデザイン哲学を融合させています。
具体的に現行モデルの革新ポイントを挙げると、以下のようになります。
- 大胆かつ洗練されたデザイン: 従来よりルーフ後端をなだらかに下げたファストバック風シルエットを採用しつつ、各部にメッキ加飾や20インチ大径ホイールを設定することで、保守的すぎないモダンな高級感を演出。実車を街中で見た人からも「前後の光り方や存在感がスゴい」「遠目からでも存在感は凄い」と評されるほど強い個性を放っています。一方でエンブレムやフロントマスクには歴代クラウンを想起させるモチーフも織り交ぜ、伝統と先進のバランスが取られています。
- 大幅なボディサイズ拡大と居住性向上: 前述のようにサイズアップしたボディにより室内空間は歴代随一のゆとりを実現。特にホイールベース延長と車幅拡大により後席レッグルームが拡大し、乗降性も大きく向上しています。トヨタは「ロングホイールベースとボディのワイド化により、後席のゆとりや優れた乗降性を実現」とアピールしており、ショーファーカー(運転手付きの後席利用を想定した車)としての資質を磨き上げました。また間接照明による演出など“大人の感性を満たす”インテリアデザインで、従来のクラウンユーザーが求める上質さも健在です。
- 先進パワートレーンと環境性能: エンジンは従来のV6やターボを廃し、「2.5Lマルチステージハイブリッドシステム」を搭載したFRハイブリッドと、クラウン初設定となる水素燃料電池車FCEVを用意。走行中CO₂を一切排出しないFCEVは静粛性と環境性能に優れるだけでなく、「アクセルを踏んだ瞬間からトルクが立ち上がり、スムーズに伸びる」独特の加速フィールで走る楽しさも実現したとされます。要するに静かで滑らかながら力強い走りで、クラウン伝統の「しっとりした上質さ」と最新EVの瞬発力を両立したわけです。ハイブリッドモデルも電気モーターとエンジンを組み合わせることでV6並みの動力性能と優れた燃費を両立しており、時代が求めるカーボンニュートラルにも対応しています。
以上のように、現行クラウンセダンは過去モデルと比べデザイン・技術・コンセプトの全てで大きな革新を遂げています。しかし不思議と「クラウンらしさ」が失われていないのもポイントです。専門誌の試乗記でも「“クラウン”が生まれ変わったといっても、トヨタは古くからの顧客を置き去りにしたわけではない。新しいセダンはショーファーカーとしてもドライバーズカーとしても第一級であり、これならロイヤルカスタマー(従来の愛好家)も納得するだろう」と評価されているほどで、伝統と革新のバランスが高次元で実現されているのです。
ベンツやBMWと何が違う? クラウンセダンならではの魅力

「高級セダン=メルセデス・ベンツやBMW」と考える向きも多いでしょう。実際、クラウンも長らく「国産の高級車」としてドイツ勢を意識した歴史があります。では現行クラウンセダンはベンツやBMWと比べて何が魅力なのでしょうか?いくつかの視点から違いを見てみましょう。
まずサイズ・価格帯では、クラウンセダンは全長5.0m×全幅1.89mという堂々たるボディに730万円(ハイブリッド)~830万円(FCEV)という価格設定で、BMW5シリーズ(全長5.0m×全幅1.9m、ガソリン523iが約798万円~)とほぼ同クラスです。メルセデスEクラスなども同様のレンジに位置します。つまりクラウンセダンはスペック上ドイツの“アッパーミドル”セダンに真正面からぶつかるモデルです。このクラスの輸入車は走行性能やブランドイメージで定評がありますが、現行クラウンセダンはそれらに負けない魅力をいくつも備えています。
- 後席の快適性と“おもてなし”性能:クラウンセダン開発陣は「ショーファーニーズ(後席ニーズ)に応えること」を重視しており、後部座席の広さ・乗り心地では同クラスの輸入車を凌駕しています。例えばBMW5シリーズが運転主体のビジネスセダンとしてスポーティさを追求しているのに対し、クラウンは後席の乗員がくつろげる空間作りや乗り心地を重視している点が大きな違いです。実際クラウンセダンには「リアコンフォートモード」(後席乗員の快適性を高める制御)といったトヨタ初の機能も搭載され、まさに日本式のおもてなし精神が息づいています。運転して楽しいだけでなく、同乗者にとっても快適な移動空間であることがクラウンならではの強みです。
- 環境技術と先進性:前述のようにクラウンセダンには水素で走るFCEVモデルがあります。水素社会を見据えたこの取り組みは、ガソリンやディーゼル主体のドイツ車にはないクラウン独自の先進性です。約3分の充填で最大820km走行できる燃料電池システムは、脱炭素と実用性を高レベルで両立したものです。さらにハイブリッド仕様も含め全車電動化されている点で、時代の要請に応えたパワートレーン戦略と言えます。ベンツやBMWも近年PHEVやEVを投入していますが、「静かで上質なセダン」というクラウン本来のキャラクターと電動技術の親和性は非常に高く、日本のメーカーならではの巧みなチューニングが光ります。
- 日本市場に根差した実用性と信頼性:クラウンは日本専売車種として培ってきた経緯もあり、日本の道路事情やユーザー嗜好に合った細やかな配慮がなされています。例えば最小回転半径の小ささ(全長5mにもかかわらず小回りが利くと評判)や、ナビ・テレビ等のインフォテインメントの使い勝手の良さ、きめ細かなディーラーサービス網などは国産車ならではです。輸入車では味わえない安心感・扱いやすさは、日常的にクルマを使うユーザーにとって大きな魅力でしょう。また故障のしにくさや維持費の安さといったトヨタ車共通の信頼性も、高級車でありながら長く付き合えるポイントです。
以上のように、現行クラウンセダンはドイツの高級セダンと肩を並べつつ、「日本発の高級セダン」として独自の価値を提供しています。スポーティな刺激よりも上質なおもてなしや環境対応技術に重きを置く点はクラウンならではであり、それが「クラウンセダンがダサい」という否定的イメージを払拭する大きな武器にもなっているのです。
オーナーの本音:現行クラウンセダンの評判は?
実際にクラウンセダンを購入・試乗した人々の声も見てみましょう。SNSや口コミサイトでは、デザインへの反響や乗り味に関する評価が数多く投稿されています。
まず目立つのがデザインへの賛否です。発売当初はその大胆なスタイルに「クラウンの面影がない」「リアがSUVみたいで格好良いとは思えない」と戸惑う声も一部ありました。しかし時間の経過とともに評価は好転しています。あるユーザーは「当初はダサいとか思ってたけど、街で走っている姿を見ると見慣れたのかカッコよく感じるようになってきた」と述べており、ショーや写真で抱いた印象が実車では一変し「走っている新型クラウンを見てカッコイイと思うようになった」人もいるようです。実物の迫力や存在感が想像以上で、街中に溶け込む様子を見て評価が上がったケースと言えます。
実際にオーナーとなった人からは、「黒のクラウンセダン(ブラックパッケージ装着車)はめちゃくちゃカッコいい」と外観を絶賛する声や、「5m級のサイズにもかかわらず小回りが利いて狭い曲がり角でも楽に曲がれる」「運転が楽しく、乗っていて嬉しくなる車だ」と走行性能に満足する声が聞かれます。大柄なセダンでありながら運転しにくさを感じさせず、ハンドリングの良さや静粛な乗り心地が評価されているようです。また「やはりクラウンはセダンだな」という感想も多く、クロスオーバーやスポーツタイプのクラウンより「セダンこそクラウンらしさがある」と支持する意見も根強いです。ある試乗レビューでは「FCEV(燃料電池車)は静かで力があって速くて乗り心地が良いという『いつかはクラウン』を現代訳で実現できている」とまで評されており、旧来からのクラウンファンも納得の出来だということが伺えます。
総じて現行クラウンセダンのオーナー満足度は高く、「家族には不評だけど、自分は大満足」といった声に象徴されるように、従来クラウンにネガティブな印象を持っていた周囲の評価を覆すケースもあるようです。納車から時間が経つにつれ、「乗れば良さがわかる」「実物を見れば印象が変わる」といった前向きな口コミが増えており、クラウンセダンの魅力が着実に浸透していると言えるでしょう。
なぜクラウンセダンは今の時代にフィットするのか
セダン冷遇とも言われる昨今の自動車市場において、クラウンセダンはなぜ高い評価を得られているのでしょうか。その理由をまとめます。
- セダンの再発見:「新たな価値観」の提示 – トヨタは現行クラウンセダンを開発するにあたり「セダン再発見」というキーワードを掲げました。SUV全盛の時代にあえてセダンの良さを見直し、「ニューフォーマル」という新コンセプトで提案したことが功を奏しています。エレガントでありながら実用的、パーソナルユースにもビジネスユースにもマッチするセダン像は、現代の多様なライフスタイルにフィットするものです。流行に流されずセダンの本質価値を研ぎ澄ませた点が支持を集めています。
- 環境対応と社会的要請への適合 – カーボンニュートラルが求められる中、フルラインナップ電動化(HEV/FCEV)したクラウンセダンは時代に合致した選択肢です。政府要人の公用車や企業の役員車としても、環境性能の高さは重要視されます。その意味でクラウンセダンはゼロエミッションのFCEVまで用意し、企業や行政需要にも応えられる点で「今の時代に合った高級セダン」と言えます。また非常時には外部給電機能で電力供給もできるなど防災・SDGsの観点でも社会に貢献しうる車となっています。
- 伝統の継承とブランド力の維持 – クラウンは1955年から続く歴史あるブランドであり、「いつかはクラウン」という言葉に象徴されるステータス性を持っていました。現行モデルでもそのブランド力は健在で、むしろグローバル展開(北米などへの投入)によって新たな輝きを放ち始めています。伝統を大切にしつつも現代的なスタイルへ大胆に転換したことで、旧来からのファンにも新世代のユーザーにも響く存在になりました。古臭さを感じさせないブランドのアップデートは見事であり、「令和のいつかはクラウン」と評する声もあるほどです。
- 現実的な使い勝手と安心感 – 高級車でありながら日常で扱いやすいという点も、このクルマが現代に合う理由です。先述のように取り回しの良さや信頼性の高さにより、都市部の機械式駐車場や狭い路地でも運用しやすく、「背伸びせず所有できる高級車」として支持されています。高度な運転支援技術(トヨタセーフティセンス)も全車標準装備され、長距離ドライブや渋滞時のストレス軽減にも寄与。最新のコネクティッドサービスでソフトウェアアップデートにも対応しており、「持っていて古びない」安心感があります。こうした総合力が現代のニーズにマッチしているのです。
以上より、クラウンセダンが単に「昔ながらのセダン」を踏襲するのでなく、現代のニーズや価値観に合うよう再定義されたセダンであることがご理解いただけたでしょう。だからこそ従来「クラウン=古臭い」「セダン=ダサい」と感じていた層にもアピールでき、「今のクラウンセダンは違う」と胸を張って言えるのです。
クラウンセダンはもう“ダサくない”!
かつては中高年向けの保守的な車というイメージもあったクラウンですが、現行クラウンセダンは大胆な革新と伝統の融合により見事に生まれ変わりました。デザイン面でも技術面でも時代の最先端を取り入れつつ、日本車ならではのきめ細かな魅力を備えたその姿は、もはや「ダサい」どころか同クラスの輸入車にも匹敵する洗練ぶりです。実際にオーナーたちからも「最高の車!」「クラウンセダンは最高にカッコいい」といった声が上がり、従来のネガティブな印象を覆しています。
最後に強調したいのは、クラウンセダンという選択肢には特別な価値があるということです。単なる高級車ではなく、日本の自動車文化が培ってきた伝統と信頼感、そして未来を見据えた挑戦が詰まった一台だからです。「クラウン=古臭い」「セダン=ダサい」と思っていた方こそ、ぜひ一度現行クラウンセダンに触れてみてください。きっとその考えが一新され、「クラウンセダンってこんなに凄かったのか」と驚かれることでしょう。クラウンセダンはもうダサくなんてありません。むしろ革新的で洗練された存在として、これからの高級セダン市場をリードしていくに違いありません。
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